人の道 美醜見極め 立つ境地
妙理に倣う 農と生き方
<要点 / この書籍から得ること>
・日本を代表する自然農の大家:川口由一氏のこれまでの歩みを、幼少時から青年期を通して現在に至るまで
・自然農とはどういうものか(はじまり、川口氏の具体的な実践、考え方など)、有機農法や慣行農法との違いを里山や人工林とも対比させた解説
・数十年、畑に向き合うことや漢方など古典の書から体得された宇宙・自然・生命への理解についての川口氏のセリフの引用と、農業の実践に限らず、人としての生き方への数々の提言
<概要 / 本書の内容をざっくりと>
自然農のカリスマ:川口由一氏のドキュメンタリー映画をきっかけに自然農を実践しているライター&フォトグラファーの著者が、川口氏の人生と思想をわかりやすく解説しています。
(下に続く↓)
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<書評 / あらすじ&レビュー>
本書の前半は、農家の長男に生まれ美術家志望だった苦悩の青年期を経て、38歳で自然農に挑戦した川口氏の歩みが書かれます。
後半は、漢方の独学と並行して深めていった自然農から得た境地が随所に登場します。
「自然界には、人間がつくることができない不思議な美しさがあり、完全さがあり、絶妙さがあります。僕はそれを『妙なる営み』と呼んでいます。」など、自然(=宇宙。人によっては「神」と呼ばれる)への理解から社会や人生観へ展開された川口氏のセリフにより、読者自身の生きる力を湧き上がらせる内容です。
カリスマではありながら「教祖」にはならないことを心がける(※川口氏は宗教の構造を批判していらっしゃいます)人柄が伝わる塾の運営での様子や、決して無理に説得やアピールをせずとも自然農の輪が着実に広がっていくレポートとなっています。
<抜粋 / ハイライトフレーズ3選>
・人生に芸術は欠かせないと、川口さんは言う。人類全体が美醜の別を明らかにできなければ、醜悪なものにこころを奪われ、社会全体が混乱することになるというのだ。「人に評価してもらうのが間違いの元で、芸術の本質は、自分が美しいと思うものを描くことだと気づいたのです。それには美しいものと醜いものを見分ける目を養わないといけません。」
・耕さないと言っても、まったく鍬を入れないわけではなく、最初に畝をつくったり、種を蒔くときに表土を削ったり、ジャガイモの収穫で畝を掘り起こしたりはする。耕さないことの目的は、自然の営みの力を最大限に生かすことであり、土を動かさないことにこだわり過ぎる必要はない。
・自然農は、私たち人間がいのちの世界で生かし生かされるための具体的な方法である。自立するには、自力と他力の、どちらも必要なのだ。自立は他者との正しい関わりを学ぶ姿勢と言える。
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<参照したいサイト>
乾坤塾レポート 自然農・川口由一さんの世界 @『インターネットと農業』
気楽に自然農 赤目自然農塾での自然農の学び
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