図解でよくわかる土壌微生物のきほん(横山和成)2015年

無機有機 複雑多様に 絡み合い
地中に煌めく ミクロの銀河

 

<要点/この本から得られること>

・土壌の成り立ちと構造から、土壌微生物の種類や構成の基本知識

・土壌微生物や、ミミズなどの土壌動物を中心とした物質の大きな循環のイメージ

・農業や家庭菜園に適用できる実践的な土壌改良の方法

 

<概要/こんな本>

土壌の生物性を20年以上にわたって研究し、土の豊かさを「無数に存在する微生物の多様性とそれらの活性(有機物の分解)量の掛け算として数値化」する手法を開発した農学者が監修した、土壌に関して網羅的で基礎的な知識が学べ、実用性も高い図解テキストです。

 

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第1〜3章で、土壌微生物についての概論から入り、第4〜7章で土壌微生物の種類や生活スタイルごとに詳述し、第8〜10章で土壌そのものの性質を解説し、最後の第11章で医薬・環境浄化・藻類原料のバイオ燃料・微生物農薬や、さらに最先端の応用例(プラスチック生成やガン検査)を紹介しています。

概論で、土壌微生物の大部分は「有機栄養微生物」と「無機栄養微生物(光合成微生物など)」が土壌中の生態系維持や物質循環において大きな役割を果たしていることを示します。例えば炭素やリンの循環の他、大気中の窒素を固定する菌、アンモニウム態窒素を硝酸態窒素に変える硝化菌などを紹介しています。

土壌微生物のタイプごとの詳述では、「有機栄養微生物」と「無機栄養微生物」の2つに大別し、腐生・共生・寄生、好気性と嫌気性(絶対的と条件的)、化学合成と光合成、根圏に生息する菌根菌などを対比させながら解説し、病原菌についての理解が深まるようにつながります。

「土壌」そのものについて、まずそもそも「土壌とは何か」物理性や構造から明らかにし、地力(土壌肥沃度・土壌生産力)の要因(物理性・化学性・生物性)が相互複合的であることを説きます。

 

<抜粋/ハイライトフレーズ3選>

・畑には、面積10a、深さ10cmの土に約700kgの土壌微生物が存在するといわれている。そのうち約70%がカビ、約25%が細菌と放線菌、約5%が土壌動物とされている。

・地力を発揮・向上させる上で忘れてはならないのは、物理的要因・化学的要因・生物的要因が「単独の効果ではなく、相互に関連して作物栽培に適した条件をつくっている」ということである。

・灌漑水は養分を持ち込むとともに、水中で生育する藍藻類や土壌中の嫌気性細菌によって大気中の窒素固定が活発に起こり、水田土壌の肥沃土を高いレベルに維持している。(中略)また、夏季は湛水による還元状態に、冬季は落水による参加状態に・・、という酸化・還元の規則的な繰り返しは、土壌生物相にも大きな影響を与え、その多様性を増している。酸化状態では好気性菌、還元状態では嫌気性菌と、おもに働く微生物が入れ替わるために病原菌が集積することがない。

 

<参考サイト>
ガイダンス・コラム記事一覧@二十四節気
多様性の中にある自由奔放な秩序
大学受験にも使える!『土壌微生物のきほん』(公認ツイッターアカウント)

 

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<主な参考文献>
・土壌生態学入門(金子信博)2007年
・ミミズのはたらき(中村好男)2011年
・微生物からのメッセージ(福田雅夫・他)2001年

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