合理的な神秘主義(安冨歩)2013年

人類の 思想のマグマ 辿る旅
生きる驚き 求め奔走

 

<この本を読んで得られること>

・古今東西の思想史の流れ(誰が誰の影響下か)の、表層(有名なもの)と地層(認識されにくいが実は大きな影響力があるもの)の全体像

・我々が考えるべき問題は、「創発(端的に言えば”神秘的な生きる力”)を阻害・破壊するもの(”暴力”と呼ぶにふさわしい)を、如何に排除するか」であるという認識

・著者も含む、この世界での生き方に不安や渇望を抱える”才能のある子”を、魂の植民地化(=自らの生きる力を信じられなくなること)から解放する方法

 

<こんな本>

我々が生きられることそのものを「神秘」ととらえ、それを阻害しているものを明らかにし、それを解除するための学問的な戦略を「合理的な神秘主義」と定義し、世界中の偉大な思想家たちの系譜を追いながらその目的達成の手がかりを探っています。

 

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第一部では、近代西欧諸学は「デカルト/ニュートン」を本流とし「スピノザ/ホイヘンス」を伏流として形成され、ときに後者が吹き出し新しい流れを生み出した、という見方でもって、数多く登場させる古今東西の思想家の中でも、特にスピノザ(17世紀オランダ。”神即自然”を示した『エチカ』など執筆)を要としています。

大まかに言えば、古代の聖人の思想を中世の革新的な思想家が再解釈し、それを近代の哲学者たちが論理的に書き記そうとする試み・苦悩の連続が描かれ、例えば、現代のコンピューターや資本主義が生まれたきっかけは、この苦悩の副産物であることがわかります。

「神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのことである」
「神秘は神秘である」
「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」
など、「神秘」について様々な記述方法で紹介しています。

また、出版から数年以内に著者自身がトランスジェンダーであることを自覚しますが、本書執筆の過程がその萌芽となっていると見て取れる部分が、第二部の中に見られるのも面白いところでしょう。

 

<ハイライトフレーズ3選>

・言葉が縁起に従って作動しており、その背後に自性など持たない、ということを認めなければ、言葉を正しく使うことはできない。龍樹の空の思想の本質は、言葉を実体化させず、縁起に沿って正しく使うべきだ、という点にある。

・「無能の私をして私たらしむる能力の根本本体が、即ち如来である」つまり無能な私がそれでも生きている、という事実そのものが、如来の存在を証明するのである。この如来の概念は、ヴィットゲンシュタインの「語りえぬもの」および「神秘」や、ポラニーの「暗黙の次元」の先駆と見ることができる。

・我々の世界は非線形性に満ちており、そのような世界に直面しながら生きている、という事実の前では、何らかの「確実なもの」にしがみ付く姿勢は、隷属への道以外の何者でもない。我々は、複雑さのなかで動的に対応して生きていく能力を、生まれながらにして持っている

 

<参考サイト>
ガイダンス・コラム記事一覧@二十四節気
『ありのままの私』(安冨歩)
スピノザと『合理的な神秘主義』by安冨歩さん&寄田勝彦さん

 

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