巡りゆく 稲作民の 原風景
人と自然の 織りなす芸術
<要点 / この書籍から得ること>
・日本の四季折々の棚田の情景や、韓国、中国(雲南省など少数民族)、ベトナム、フィリピン、インドネシア、イラン、マダガスカルの雄大な棚田の景観と、それに関わる人々の表情
・棚田での作業の様子のレポートつきの、米の生産過程
・写真家の著者と棚田研究の第一人者である中島峰広氏(早稲田大学名誉教授、NPO法人棚田ネットワーク代表)の対談から、棚田にまつわる様々な知識
<概要 / 本書の内容をざっくりと>
「日本とアジアの棚田」がテーマの写真展を全国開催し「棚田学会賞」受賞の著者による、写真集とそれに添えた情景描写のシンプルな文章に、「おこめができるまで」を簡潔に紹介し、”棚田博士”中島氏との対談で構成されています。
(下に続く↓)
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<書評 / あらすじ&レビュー>
まず、それぞれの地形により形状も様々である棚田を、「自然と人間がいっしょになってつくりあげた”芸術作品”」、「人間がつくったなんて驚き」と評し、写真をメインに日本全国の棚田風景を紹介しています。
また、東アジアや東南アジアだけでなく、砂漠のイメージのイラン、アフリカ大陸東部の島国マダガスカルにさえ棚田があることを紹介した「アジア・アフリカの棚田」のコーナーでは、壮大なスケール感の棚田と、現地に暮らす人々の活力溢れる日常をシャッターに捉えています。
中島氏との対談で、1995年の第一回全国棚田サミット(高知県梼原町)が開かれる少し前に、棚田の定義(20mに対し1mの高低差)を定め全国棚田マップを作り、1999年の農水省「日本の棚田百選」ができた経緯がつかめます。
そして両者の棚田への関わりのきっかけから、「なぜ棚田は美しいか?」に対するそれぞれの答えが語られ、棚田の歴史や生態系やオーナー制度などの知見が述べられます。
最後に、農家の人たちが絶対にやめてほしいと言っていること(あぜの田んぼ側を踏まれる・田のまわりに生えている山菜を勝手にとられる・ゴミを捨ておかれる)を注意喚起しつつ、棚田に多くの人が来るよう呼びかけています。
<抜粋 / ハイライトフレーズ3選>
・山の上にはプールのような田んぼ。あたりは静かで、苗を植える音だけが聞こえていました。人間は何千年もの間、こうして田植えを続けてきたのです。
・砂漠におおわれて、乾燥して暑い国と思われているイランだが、カスピ海に面したところには、大水田が広がっている。その山ぎわには川の水を利用した棚田もある。山は緑が豊かで、湿気もあり、冬には雪も降る。まるで日本の東北地方のようだ。
・棚田の美しさというのは、突き詰めていくと、人間が生きていくために、自然から許されるような範囲で、必要最小限の手を加えた、その美しさではないかと思っています。(中略)生きものが生きるにはそれしかない、というようなかたち・・・表現が難しいのですが、ただ単純に”きれい”というのとは、ちょっと違う美しさだと思っています。
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<参照したいサイト>
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