その土地の 「食」を文化へ 昇華させ
人と自然を 繋げる料理
<要点 / この書籍から得ること>
・ 活躍ぶりが雑誌やテレビでも取り上げられ全国区で知られるシェフの、修行時代からこれまでの歩み
・食材の本質、すなわち「この”生き物”は何の狙いでこんな特徴なのか」「どういう環境で育ったのでどんな味になるのか」など一流の料理人としての探究心の、詩的なフレーズとイラスト(壁画アーティスト・ミヤザキケンスケ氏の挿絵)による表現
・飲食店のスタートのしかた、6次産業化を成功させる条件、海外でもメディアでも手元にある与えられた状況で求められたことに最大限応える姿勢など、著者の豊富な経験と考え方を通じ、職人といえども「伝えるための言葉」が重要であるという認識
<概要 / 本書の内容をざっくりと>
山形県鶴岡市にある「アル・ケッチァーノ」をはじめ複数のレストラン経営と、全国各地の地域活性プロジェクトにも関わる著者が、これまでの活動で仕掛けてきたことを明かしています。
(下に続く↓)
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<書評 / あらすじ&レビュー>
著者の「地球上の生きとし生けるものと人をつなぐのが料理」という信念のもと、調達してきた地元の食材や、試行錯誤・工夫を重ねた調理法が惜しげもなく披露されています。
自然の営みを観る目で食材と向き合い「おいしい野菜は”大切”にしたい味だから大きく切る」などの食材の特徴を最大限引き出す方法の数々から、有機農法・自然農法・慣行農法・さらには森林農法と、料理人の視点からそれぞれの農法の味の特徴の解説に至るまで、著者がこれまで積み上げてきた「言葉」となり、料理の概念図や地域の鳥瞰図なども添えて彩り鮮やかに散りばめられています。
対談として収録されている、在来野菜を共に探索した江頭宏昌山形大准教授や、ベストセラー『だから日本は世界から尊敬される』のサンマリノ大使マリオ・カンデロ氏の他に、多くのキーパーソンが登場するのも見どころです。
<抜粋 / ハイライトフレーズ3選>
・食習慣に物語を付けて食文化にしていく。日常の何げない、だけどぬくもりのある暮らしのひとコマを、文字通り言葉(文)に置き換え(化)ていく。食文化は宗教や言葉の壁を越えて自然と人をつなげる、平和の礎です。
・「いつもは野菜炒めで食べていた野菜の苗一つ一つを、もう一度自然の摂理から見直し、その持ち味の特長を際立たせるようにシンプルに料理をして、それぞれを主役にする」わたしは庄内の自然やこの地域の人々が培ってきた食文化を味で表現したかったので、食材の味がわからなくなるソースを封印しました。
・わたしは料理人なので料理を作ることを役目として自負していますが、同時に関わる全てのことを「言語化」することに同じくらいの時間と労力を費やしてきました。
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<参照したいサイト>
著者プロフィール@アル・ケッチァーノ
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