グローカル 社会企業の さきがけは
大地に根差す おいしい野菜
<要点 / この書籍から得ること>
・「ソーシャルビジネス・社会的起業」をするとは具体的にどういうことか、大地を守る会という1つの事例
・現代の日本をとりまく「食」の事情を、グローバルな視点から俯瞰した把握
・逆風の中でも仕事を続けられるための「心構え=面白がること」「秘訣=商品・サービスが確かに良いこと」
<概要 / 本書の内容をざっくりと>
藤田和芳氏らによる「株式会社大地を守る会」の有機農業運動35年の歩みを、その取り組み一つ一つの想いや、当事者・関係者たちとの衝突も含めて独白しています。
(下に続く↓)
<書評 / あらすじ&レビュー>
それだけにとどまらず、グローバル経済の中での「食」や「農」をめぐる多方面の歪みが生じる原因について言及されていて、その問題の解決への糸口を手繰り寄せるような地道で着実な活動の最初のストーリーも複数記載され、メインである「有機農業を広めることで社会を良くする」という事業を始めることとなったきっかけの出会い、その立ち上げのストーリーがリアルに語られています。
大地を守る会の社会的ミッションは定款に明記した次の3つ。
■日本の第一産業を守り、育てる
■人々の生命と健康を守る
■持続可能な社会を創造する
最後の章では作家の故・立松和平氏との対談で、「お天道様は公(おおやけ)である」という場面が見どころです。
公というのは、国とか規律とかそんなものではなく、「天地」のこと。
これはアドラー心理学でいう「共同体感覚」や、脳科学や自己啓発界隈の様々なところで言われる「集合的無意識」と同じものを指していると思われます。
やはり100億円規模の事業体を作り上げた経営者と、世界中を旅し環境保護活動にも熱心だった行動派作家の考えていることは、1つの真理に近いものに行き着くのでしょう。
<抜粋 / ハイライトフレーズ3選>
・有機農業運動になぜ株式会社を持ち込むのか、という意見が圧倒的だった。その雰囲気の中で私たちは運動の広がりと深みを持たせるための選択であると、堂々と主張した。
・欠品と余剰の問題にきちんと対処していくことも、有機農業が広がっていくには大切である。まず、欠品の思想を身につける。自然に従って生きるのが人間だ。生産者に対して「欠品してもいい」と言っている。
・本業の中に自分の求める道があり、せいいっぱい本業に励むことが自らの人生の豊かさにつながる。本業の営業活動に自らが奮い立つような熱い思いをもって仕事に打ち込むことこそが、自らを真に生かす第一歩であると確信する。
<参照したいサイト>
理想の”共有力”で、有機農業ビジネスを開拓
株式会社大地を守る会とは
特集『大地を守る会』 @『インターネットと農業』
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