マーケティングに強くなる(恩蔵直人)2017年1月出版

最新の 成功事例 分析し
日本企業に エールを送る

 

<要点 / この書籍から得ること>

・マーケティングの国際研究大会でも日本の存在感は明らかに小さくなっていることが語られ、世界の目は中国やインドなどに向けられている、という現状認識

・悪い戦略(①空疎②重大な問題からの回避③目標と戦略の取り違え④間違った戦略目標の提示)に陥っていないか気づけ、良い戦略を構築するステップ(①診断②基本方針の打ち出し③行動の明示)を踏める

・分析/整理された最新のマーケティング理論と、それにあてはまる成功ビジネスモデルやヒットした新商品の具体的事例

 

<概要 / 本書の内容をざっくりと>

アメリカのマーケティングの著作の翻訳を統括する研究者による、日本企業への応援の気持ちを込めて世界中から成功事例とその理論的根拠を編集した本です。

(下に続く↓)
 

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<書評 / あらすじ&レビュー>

人々を単なる顧客や消費者としてでなく、精神を有する全人的な存在として捉えようとする「人間中心の考え方=マーケティング3.0」が登場してきましたが、これまでの「製品中心の考え方=マーケティング1.0」、「顧客中心の考え方=マーケティング2.0」が否定されたわけではないことに注意した上で、現在のマーケティング理論を下記のとおり再整理しています。

■「顧客の顧客」と結びつくことのメリット
①買い手との交渉力を高める
②新ビジネスを創る
③業界構造を再構築する

■新製品開発チームに求められる組織変数(職能横断的統合の有効性を引き上げる)
社会的凝集性/結束力
組織的志向性/突進力
集団的自律性/自治力

■「縦軸:ビジネスモデルが既存か/新しいか」「横軸:顧客・製品が従来か/異なるか」で区分けした4つのマトリクス
コアスペース(既存・従来)
アナザースペース(新しい・異なる)
隣接スペース(既存・異なる)
ホワイトスペース(新しい・異なる)

■製品デザインの8要素
審美性:視覚に基づく
継続性:時代を超えて組織内で受け継がれている
先進性:時代の先端に位置している
安全性:人々の安全を実現
快楽性:心地よさをもたらす
機能性:製品本来の役割を実現
操作性:操作しやすさ
独自性:他社には見られない

 

<抜粋 / ハイライトフレーズ3選>

・前川製作所のメンバーと話していると「共創」「棲み分け」といった言葉が頻繁に出てくる。受注産業として仕事を受けるという発想ではなく、顧客の先へと目を向け実際に顧客の顧客と濃密な接点を有することで、新たな価値を生み出すとともに、競合他社との明確な棲み分けを実現しているのである。

・戦略と称しておきながら、実売単に目標だけを示していたり、ビジョンや価値観といった曖昧な言葉を用いたりして、組織として何をどのようにすべきか不明確なままであれば、リチャード・P・ルメルト教授のいう「悪い戦略」に陥っていることになる。

・鉄道業界では当たり前すぎて関係者は特に意識することもないというのだが、マーケティングにおいてデザインを考える我々にとって、フェイルセーフ(万一列車の機能の一部が故障した際、より安全な方へ転じるように設計しておくという考え方)は多くの気づきを与えてくれる。

 

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<参照したいサイト>

デザイン思考について@インターネットと農業

 

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