銀河鉄道の夜(宮沢賢治)1934年

親友と 天上への旅 途中下車
星座の具象 4次元世界

 

<この本から得られること>

・天体の知識が豊富に散りばめられた、星々から空想される色鮮やかな詩的表現

・仏教思想の隠喩と、キリスト教的な救済の願いが反映された世界認識

・全体的に背景が深く暗い中でのきらびやかさと、常になんとなく寂しさを抱える少年の視点からの幻想的なストーリーによって、夜空に包まれたような不思議な読後感

 

<こんな本>

少年ジョバンニが親友カムパネルラと共にした銀河鉄道の旅が、圧倒的に美しく物悲しい情景描写により表現された、著者を代表する作品です。

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天の川についての授業の場面を冒頭に、はにかみ屋でクラスメートから少々からかわれる少年ジョバンニが、病気の母に牛乳を取りに出かけるところから物語は始まります。
”乳”は、仏教では悟りの段階の象徴とされ、天の川もThe Milky Wayと呼ばれるように、この作品においての”牛乳”は、主人公の少年の精神的成長を隠喩しているかもしれません。

夕暮れの街は、烏瓜の灯りを川に流す催しがあり、ジョバンニは見物だけする予定ですが、途中すれ違うカムパネルラ含むクラスメートたちは川に向かいます。
からかわれ無性に悲しくなったジョバンニは丘の上へ駆け上り、天の川を見上げていると、いつのまにか銀河鉄道に乗車しているのでした。

そこにはカムパネルラもいて、一緒に旅をしていきます。
化石発掘調査している学者グループとの会話、鳥捕りの男(殺生を商売とする人物)とのやりとり、氷山にぶつかり沈没した船(タイタニック号と思われる)から来た青年と少年少女の3人との交流の様子が、美しい情景描写とともに心情変化も細やかに描かれます。
白く立派な神々しい十字架が何度か登場し、救済(本当の幸せ)のイメージにキリスト教の影響が色濃く見られます。

2人きりになり、ある野原に母の姿を見つけたカムパネルラはジョバンニが振り返ったときには姿を消していて、その嘆きの瞬間に元の丘の上で目が覚めます。
胸がざわつき川の方に行ってみるとカムパネルラは・・。

 

<ハイライトフレーズ3選>

・これを巨きな乳の流れと考えるならもっと天の川とよく似ています。つまりその星はみな、乳のなかにまるで細かにうかんでいる脂油の球にもあたるのです。(中略)その天の川の水のなかから四方を見ると、ちょうど水が深いほど青く見えるように、天の川の底の深く遠いところほど星がたくさん集まって見えしたがって白くぼんやり見えるのです。

・そのきれいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとおって、ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、虹のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流れていき、野原にはあっちにもこっちにも、燐光の三角標が、うつくしく立っていたのです。

・向う岸の野原に大きなまっ赤な火が燃されその黒いけむりはたかく桔梗いろのつめたそうな天をも焦がしそうでした。ルビーよりも赤くすきとおりリチウムよりもうつくしく酔ったようになってその火は燃えているのでした。

 

<参考サイト>
ガイダンス・コラム記事一覧@二十四節気
宮沢賢治の宇宙
対談「宮沢賢治の銀河世界」宮澤和樹×鍋島直樹

 

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