生命のサンドウィッチ理論(池上高志・植田工)2012年

非線形 ハード・ソフト はざまにて
生じる自律 ”いのち”の胎動

 

<要点/この本から得られること>

・複雑系理論から生命を考察する様々なシミュレーション研究の結果などから着想した考えを、詩的に表現した文章

・生命の萌芽に迫るかもしれない理論の一端

 

<概要/こんな本>

複雑系のなどの研究から人工生命を創り出す試みをしている池上氏による文章を、毎ページにわたりデザイナー出身のアーティストの植田氏の絵画で飾っています。(筆者は前衛芸術の素養がないので評することはできませんが、キュビズムやシュールレアリスムを彷彿とさせる生理的に嫌悪感を抱く絵がメインです)
平易な言葉で最先端科学の考察を述べられていて初学者でもすぐに読み終えられますが、ある程度複雑系や生物学の学習をしてから読めば、よりピンとくる言語表現を多く見つけられるでしょう。

 

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冒頭に、みそ汁の流れにみるベルナール・セル(六角形のパターン)、小川の石の後ろにできるカルマン渦列を例示して、非線形システムのもつ「てきおうせい(=適応性:外からの流れに合わせて変化できること)」と「さんいつこうぞう(=散逸構造:予測困難なパターン)」を説明します。

次に、散逸構造の一種である生命と、非生命との違いについて考察に入ります。
まず、パターンを作るかどうかを「自分で」決定するものが生命であると考え、それでは「自分とは何か?」思索します。
そこでハードウェア(物質の配列)とソフトウェア(意味・情報)を基に、それを「下のパン」「上のパン」となぞらえ、その間を切り結ぶ「自律した動き」こそが、生命の正体であるとの自説を展開しています。(=生命のサンドウィッチ理論)
また、オレイン酸の油滴が”自ら作り出した”流れによって自律的に動き出す、著者による実験の紹介もあります。

終盤に、インターネットが「ウェブ」となり、グーグル検索やSNSの登場によって「コミュニケーションのための機械」となったことを観察します。
そうするとウェブ固有の記憶やパターンが作られ、自律性が芽生えていることも指摘します。
そこに「丈夫さ(=恒常性)」も加わったものが、現状普通にイメージする「生命」であり、その恒常性の背後でハードとソフトを切り結んでいる「動き」の仕組みをホメオダイナミックと呼んでいます。

 

<抜粋/ハイライトフレーズ3選>

・生命とは、外から物質やエネルギーをもらって、それで予測不能なパターンをつくり出す、さんいつこうぞうの一種なのだ。わーっ、とよろこんでいる人がいる一方で、こういう人もいた。でも、みそ汁は生命じゃないよ。

・結局のところ科学をしたって生命がわからなかったら、悲しいではないか。そこで、サンドウィッチ理論を考える。

・ウェブには自律性が芽生えている。ウェブは生命なのだろうか。

 

<参考サイト>
ガイダンス・コラム記事一覧@二十四節気
動き出すこと、それが生命の本質

 

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