バイキンと 上手に付き合う 実用書
食と衛生 美容・健康
<要点 / この書籍から得ること>
・微生物の知識の中でも身近な事のみに絞って紹介され、「生活見直しチェックリスト」もあり実際に普段の生活(衛生面だけでなく美容・健康にも)の質を向上させられる
・科学好きで微生物学の素養がある読者にも、出版時点での最新研究情報も触れていて知的興奮も満たす
・解説漫画だけでなく、各章のおさらいとして表や図解が簡潔にまとまっていて、その領域の専門家にとって記憶の補助や復習に役立つ
<概要 / 本書の内容をざっくりと>
40歳で神戸大学(理学部生物学科)に入り直したエッセイ漫画家で主婦の著者が、農学研究科の准教授の監修の下、イメージしやすいようイラスト多めで、生活に密着した菌(菌類)について実用的な解説をしています。
佐伯先生の『基礎微生物学』が、机を並べる若者と違い主婦がゆえに実生活に役立つ学問と気づき、専門書でなく家事をしている主婦や一般の人に伝えたく着想されました。
(下に続く↓)
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<書評 / あらすじ&レビュー>
微生物は4つに分類(ウィルス、細菌、真菌、原虫)され、人間の様々な場面で共存しています。
バイキンのバイは、カビ(黴)であり、「バイキン」とは特に人間に害を及ぼす細菌やカビなどの微生物の総称です。
日常のキッチン・食品・風呂・収納・トイレ・美容・健康・子育ての各章にて、
●家庭の中でバイキンが多い場所はキッチン。4大パラダイスはスポンジ、まな板、ふきん、包丁
●冷蔵庫での保管は油断できない。低温に強い菌もいて、カビは0℃から発育可能。付着している菌も増えにくくなるだけで生きている。
●使い古しの化粧品は細菌まみれ
など、実生活の中での菌の存在とその対策を次々と提示しています。
「腸内細菌などは人が自分では作り出せない重要な物質を合成。免疫反応や肥満まで調整。神経作用にも関わっていて、鬱や心の状態にも影響」
「紅茶は茶葉に含まれる酸化酵素による酵素発酵。プーアール茶は麹カビによる発酵」
の豆知識も盛り込んでいます。
「人間に悪さする菌を「悪玉菌」と決めつけているが、菌は環境に従い「あるがまま」に存在しているだけで菌の世界も陰陽がバランスをとりながら存在している」という提言もあり、菌との上手な付き合いを推奨している本です。
<抜粋 / ハイライトフレーズ3選>
・私たち、ヒトにだって、腸内細菌だけでなく体の中にも外にもいっぱい、常在菌と呼ばれる菌がすんでいるんですっ。その数、100種類以上、100兆個の細菌がいる!!あたしの体の1キロが菌の重さやねんでー
・「抗菌」の効果とは、微生物の生育を抑制する(静菌効果)以上の働きで、死滅さえる(殺菌効果)以下の働き、という意味で使われることが多いんです。言葉の定義はあいまいなため、ちまたにあふれる香菌加工製品もピンキリ。でも、そもそも私たち自身が菌の塊なのに、「抗菌」好きな日本人。自分のイイ菌まで抗菌されたら・・・本末転倒?
・地球上の何よりも菌とヒトは腐れ縁
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