ありのままの私(安冨歩)2015年出版

越境し 見つけた真の 美しさ
立場主義から 脱却を期す

 

<要点 / この本から得ること>

・男性から女性へと変わっていく過程とその心境

・日本社会を覆う、現憲法よりも優先される「立場主義」(以下3条)から生じる問題点の指摘
1.役を果たすためには、何でもしないといけない
2.立場を守るためなら、何をしてもいい
3.人の立場は脅かしてはならない

・実体験と論理的考察に基づく、人間本来の「美しさ」についての再定義

 

<概要 / 本書の内容をざっくりと>

東大の東洋文化研究所の(男性)教授の筆者が、50歳を過ぎてからダイエット成功をきっかけに自分は実は女性であったと気づき、勇気を出して女性装で人前(外出、教授会、メディアなど)に出ていくなど過程を描く。さらにその体験から、日本社会に横たわる差別構造を考察しつつ、人間本来の「美」を追究している。

(下に続く↓)
 

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<書評 / あらすじ&レビュー>

男性の身体であるが本来は女性の心だった(トランスジェンダー)ことに気づくまでの、主に服装についての発見と考察によって、女性になっていく過程が詳細に語られます。
女性装をしたときに筆者が得られる安心感の理由は、戦前から続く徴兵思想を引きずる両親からの抑圧と考え、子供の頃に植えつけられた意識の根深さに気付かされます。

不快な思いも含めメディア出演での経験から、日本のテレビの下らなさを「業界内部の人に挑戦心がなく視聴者が持つステレオタイプに寄りかかって番組を作るため」と考え、これが暴力・差別を生み出す構造になっていると訴えます。

一方、マツコ・デラックスさんの大人気の理由が、歴史家・網野善彦氏の見抜いた「無縁の原理」と重なることを見出します。
筆者が「大嫌い」な言葉である「性同一性障害(gender identity disorderを訳し元の言葉より更にひどい意味になっている)」について、「アイデンティティ」の意味を一神教の文化圏から考察し、「性器の形状で男女に分けて秩序とする」偏執狂的な”世間の常識”を批判しています。

ファッションとは、「自分自身の宝物の発掘」すなわち「似合う服を来て自分が美しい生物であることを認識すること」であり、”生きる力の源”となると考えます。
「人間は、その人自身のありのままの姿であるときが、最も美しい」ということが、最後に著者が最も伝えたいことでしょう。

 

<抜粋/ハイライトフレーズ3選>

・女になろうとするのではなく、自分になろうとして女っぽくなっていったのです。

・「無縁の原理」は、「縁切りの原理」とも言い換えられます。網野は、人間の自由の根源を、縁切り、という行為に求めました。

・「同性愛などということは、人間だけのやる異常な行為だ」と思っている方も多いかもしれません。「種の保存に反することが自然界で見られるはずがない」と思うかもしれません。しかしそれは違うのです。違うというのは、二重の意味で違っています。第一に、「種の保存」という概念は根拠がありません。第二に、同性愛的行動は、動物に普遍的です。

 

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<参照したいサイト>

50歳で始めた女性装、転機に 東大教授の安冨歩さん
スピノザと『合理的な神秘主義』by安冨歩さん&寄田勝彦さん
合理的な神秘主義 生きるための思想史(安冨歩)@『1分で読書、』

 

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